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ワークフローをクラウドシステムにするメリットと導入時の留意点を解説

column

2020年04月01日

紙の書類だと、どうしても時間がかかりがちな承認・決裁業務の解決には、システム化をお薦めします。システム化すれば、書類の起票も、上長の承認も、大幅にスピードアップでき、組織の意思決定にかかる時間を大幅に短縮可能です。承認・決裁業務のシステム化には、オンプレミス型とクラウド型の2種類の方法があります。ここでは、クラウド型システムで実現するメリットを中心に、導入時の留意点も交えて解説。また、クラウド型ワークフローであれば、会社に出勤しなくても、自宅で承認・決裁が行えるので、猛威を振るう新型コロナウイルス感染対策の1つ、テレワーク(在宅勤務)への移行を支援します。

そもそもワークフローとは?

ワークフローという言葉をよく聞くようになりました。英語ではworkflowと書き、もともとは「仕事の流れ」を意味します。現在、ビジネスの世界でワークフローというと、組織の中で職階を上りながら、承認・決裁を求める業務のことをいいます。たとえば、経費精算書や休暇届の提出、稟議書の申請などがそれにあたります。

伝統的に、ワークフローは紙の書類で行われてきました。起票者がそれぞれ専用書類に必要事項を書き込み、上長に提出して印鑑をもらえれば承認、という具合です。しかし、紙で回すワークフローには問題があります。紙の書類は、人が上長に提出しに行かなければなりません。承認ルートが多段階なら、それだけ書類の移動が発生し、途中の承認者が不在だと、そこでストップしてしまいます。承認を促すことも難しいため、どうしても決裁までに時間がかかり、スピーディに業務を進められません。しかも、起票者は、自分が提出した書類が今どこにあるのか、尋ね回らないかぎり知ることもできないのです。また、セキュリティという観点でも、マル秘と書かれていても紙の書類は手に入れば誰でも読め、紛失のリスクもあります。そして、紙を大量に消費することはいうまでもありません。

ワークフローをシステム化するメリット

ワークフローはシステム化が可能です。ワークフローシステムという仕組みが存在し、これには組織情報データベース、申請書作成機能、承認ルート設定機能などが備わっているため、組織内で承認が必要なさまざまな業務を効率的に進めることができます。起票者はシステム内に保管されている電子フォーマットを使って迅速に書類を起票し、ボタン1つで上長に提出できる上、その承認ステータスもPC上で容易につかめます。一方、承認者も、たとえ出先であっても送られてきた書類に対して、すぐに認否を判断できるようになり、結果として、申請から決裁までの時間を大きく短縮可能です。また、5人の上長に同時に提出しなければならない、といった複雑な承認ルートであってもシステムであれば可能で、権限に応じて書類を見せる・見せないといったセキュリティ設定も行えます。そして、ペーパーレスも実現します。

オンプレミス型とクラウド型、どちらを選ぶか?

ワークフローシステムにはオンプレミス型とクラウド型があります。前者はシステムを購入し、自ら運用管理するもので、後者はクラウド上のシステムをサービスとして利用します。

オンプレミス型を採用するメリットは、自社の都合に合わせてカスタマイズしやすいことです。ただし、システムで大きな初期投資がかかる上に追加開発コストも必要になり、バージョンアップも難しくなります。しかし、どうしても譲れない独特の企業文化がある、というならこちらでしょう。また、当然ながら運用管理の責任も持たなければなりません。

一方、クラウド型ワークフローシステムのメリットは、すでにそこにあるサービスであるため、簡単な設定ですぐに使い始めることができることです。また、月額料金で利用でき、大きな初期投資は不要です。さらに、運用管理もベンダーが担い、利用に専念できます。こちらは普遍的なシステムを多くの組織で“共用”する形となるため、自らの組織にどこまでもぴったりフィットというわけにはいきません。しかし、今は“クラウド・バイ・デフォルト原則”といって、クラウド型サービスの利用を第一候補にすることを日本政府自らが推進している時代、クラウド型を選択することは組織の既存ルールを見直す契機にもなります。

表1:オンプレミス型VSクラウド型

オンプレミス型 クラウド型
メリット
  • カスタマイズ性が高い
  • セキュリティが強固
  • 運用管理が不要
  • すぐに利用が可能
  • 大きな初期投資は不要
  • 月額固定料金でコスト負担が小さい
デメリット
  • 運用管理が不要
  • 利用開始までに時間がかかる
  • 大きな初期投資がかかる
  • カスタマイズにもコストがかかり、バージョンアップが難しくなる
  • 他の企業と利用するサービスのため、自社にぴったりフィットというわけにいかない

ワークフロー事始めとしてのグループウェア

とはいえ、ワークフローシステムは初めてという場合、いきなり本格的にはじめるのは不安があるかもしれません。もし、組織でグループウェアを導入している場合、そのグループウェアが持っているワークフロー機能を使ってみましょう。すでに導入しているサービス上の機能ですから、何といってもコストがかかりません。これで数か月試して、紙の書類で進める場合と比較して効率向上が実感できたなら、さらに強力なワークフロー機能を持つサービスを検討するといった具合にステップを踏みながら、進めてもいいと思います。

以下に、主なクラウド型グループウェアの比較表を載せました。導入されているグループウェアがワークフロー機能を備えているようであれば、ぜひ試してみてください。

クラウド型ワークフローシステムのメリット

冒頭でも触れましたが、クラウド型ワークフローシステムを利用するメリットはさまざまです。

(1)申請→承認のスピードアップ

専用システムは、確認漏れや承認漏れを防止する機能が充実しており、案件の停滞・遅滞を回避し、迅速に組織としての意思決定が下せます。

(2)意外に高いフォーマット作成の自由度。ひな型を用意しているものも

紙の書類様式を変えたくないという企業も多いですが、クラウド型ワークフローシステムでも、フォーマット作成の自由度はかなり高いです。なかには、すぐに活用できるひな型を用意しているサービスもあります。

(3)申請書の種類に合わせて承認フローの事前設定が可能

優れたワークフローシステムは、書類の種類に合わせて事前に承認フローの設定が可能です。そのため、ユーザーは起票時に毎回承認フローを指定する必要はありません。もし、起票者が自分で承認フローを選択したい場合、それも可能です。

(4)運用管理から解放される

すでに述べましたが、クラウド型ワークフローシステムは、サーバを運用したり、ソフトをインストールすることなく、即利用を開始できます。

(5)スマートフォンにも対応

多くのサービスはスマートフォンに対応しています。これにより、外出先や移動中にも承認・決裁が行えるなど、企業の業務推進力が大きく高まります。

(6)コストが安価

クラウド型であるため、大きな初期投資がかからず、ユーザー数に応じた月額費用で利用できます。

ワークフローシステム導入における留意点

ワークフローシステムは業務効率向上に役立ちますが、企業内のワークフロー業務がすべてシステム化できるかというと、そういうわけにはいかないかもしれません。中には法律上電子化できない書類もあり、それらは従来どおり、紙として保管し、紙のまま回覧・閲覧することになります。また、一部のメンバーにしか利用されない業務、年に一度発生するかどうかといった業務などもシステム化の効果が薄れます。お薦めしたいのは、承認ルートがシンプルで普遍的な業務、たとえば名刺の作成依頼や文房具の購入申請などからシステム化をスタートし、徐々に対象範囲を広げていくことです。その過程で、既存ルールの見直しが必要になる場合もあると思いますが、あくまで合理的に判断するようにします。また、これも重要なポイントですが、ワークフローシステムで扱う書類は機密性の高いものも多いため、セキュリティの甘いサービスを選ばないようにします。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる中、組織の意思決定をスピードアップするワークフローシステムは、その変革に大きな役割を果たします。ぜひ貴社も、迅速な立案、迅速な決断を可能にし、クラウド型ワークフローシステムの導入をご検討ください。

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